文書560への感想


          
文書560への感想

私もこの本 (食べモノの道理) を読みました、食品や医療に係わる大多数の専門家は似たような考えを持っていると思います。

「1.食品を善玉と悪玉に分ける論理を使う人」への感想

食品を善玉と悪玉に分けるのは非常に馬鹿げたことではありますが、セールストークとしてよく用いられる方法です。信じ込んでしまうと、ほとんどの場合、高価な商品を買わされてしまいます。

食べるモノが善玉か悪玉かではなく、食べるモノの種類や量のバランスが重要です。たとえは、食品中のコレステロールは何かと問題視されますが、コレステロール自体は体内で細胞膜やホルモンを作るのに必須の成分です。また、コレステロールを含む食品を摂らなくも、炭水化物やタンパク質を原料として体内でも合成されます。体の基本的なパーツを作り出すコレステロール無しでは生きてはいけません。

悪玉コレステロールと呼ばれているLDLは、血管の壁に入り込み、血管壁を強くしますが、増えすぎると血管壁に入り込んで、沈着して血管を硬くぼろぼろにしてしまいます。善し悪しは、「量」で決まります。LDLを悪玉と呼ぶのはやめるべきです。

「2.健康と長寿に貢献する食事というのは、日本の伝統的食事ではない。」への感想

もし、明治以前の一般庶民の伝統的日本食や伝統的農業(食料生産)にタイムスリップするならば、塩分の摂りすぎによる高血圧、カルシウム不足による骨粗鬆症、ビタミンC不足による壊血病、ビタミンB1不足による脚気、ビタミンA不足による夜盲症、コレステロール不足による血管の老化促進など様々な病気、プラス、昔ながらの農法 (完全有機農業) による寄生虫感染症、細菌感染症、カビ毒中毒や、栄養素不足による免疫機能の低下などが大きな問題となり、平均寿命は大幅に短くなるでしょう。また昔ながらの農法 (完全有機農業) では何年かに一度は農作物の収穫皆無も覚悟しなければならず、医療水準もタイムスリップさせると、生まれてきた子供の内、成人に達するまで生き延びるのは約半分以下の割合となりそうです。

昔ながらの食生活や農業のあり方をたたえる人には、飢饉、脚気、生まれてきたばかりの子供を殺す「間引き」、女児の人身売買など、歴史が持つ悲惨な面についても考察してもらいたいものです。

現代の食生活や農業のあり方に様々な問題があることは確かですが、昔は昔で、もっと大きな問題に苦しめられていました。

「3.たんぱく質としては動物性食品のほうが優れている」への感想

タンパク質は20種類のアミノ酸がくっついてできています。動物が自分の体内では合成できないアミノ酸を必須アミノ酸と言います。つまり食物として摂取しなければならないアミノ酸のことです。人間の場合、ロイシン、イソロイシン、バリン、スレオニン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンの8種類で、幼児の場合はさらにヒスチジンが加わります。

必須アミノ酸をバランスよく摂るためには植物性タンパク質約6割、動物性タンパク質約4割が良いと言われています。アミノ酸の種類から言えば動物性タンパク質の方が植物性よりもはるかに優れていますが、日常の食事で動物性タンパク質を多く摂ると、同時に脂肪分も多く摂りやすくなるため、植物性と動物性の食品をバランスよく食べる必要があります。

純粋なベジタリアンの場合は、必須アミノ酸不足に陥りやすく、健康で長寿な人生は困難となります。大豆などの豆類には必須アミノ酸のなかでメチオニンが、米や小麦などの穀類にはリジンが不足気味です。ベジタリアンの方は高価で怪しげなサプリメントに頼らず、せめて卵と乳製品ぐらいは摂った方が安全です。

いろいろ考えてみると、ありふれたフレーズですが、「バランスのとれた食生活」に行き着きます。

「4.そこそこのおいしさでリーズナブルな価格がいいのではないか。」への感想

食材は未知の化学物質の固まりです。主な栄養素についてはかなりのことが分かっていますが、それ以外の成分については分からないことだらけです。

テレビのワイドショーなどでは○○○にはポリフェノールが含まれているので体に良いという具合に紹介されますが、ポリフェノールとはポリフェノール系化合物の総称で様々な種類のポリフェノールがあります。一説には300種類以上のポリフェノールがあると言われおり、植物性の食材にはごく普通に含まれています。

代表的なポリフェノールは赤ワインに含まれるアントシアニン、緑茶のカテキン、玄米のフェルラ酸、ココアやチョコレートのカカオマスポリフェノール、コーヒーのクロロゲン酸、そばのルチン、大豆のイソフラボンなどがあります。テレビのワイドショーやサプリメントの広告などを通じて、これらの物質名をご存じの方もおられるでしょう。

確かに、ほとんどのポリフェノールは抗酸化作用を持っており、動物を使った実験室レベルの研究では、健康にプラスの効果持っていることが少しずつ分かってきていますが、人体への影響はまだよく分かりません。

肉類や乳製品の消費が多い欧米諸国の中で、赤ワインの消費量が多いフランスに循環器系のトラブルが少ないのは赤ワインに含まれるポリフェノールのおかげであるという短絡的な情報をマスコミが垂れ流すことがあります。しかし、なぜか、フランスにはアルコール性肝障害の患者割合が多いことは報道しません。

ポリフェノールが体に良いと信じ込んで、赤ワインやコーヒーやチョコレートを飲み過ぎたり食べ過ぎたりすれば、どのような結果になるかは、普通の人なら分かるはずです。植物性の食材にはごく普通に含まれていますので、バランスのとれた食生活をしていれば、意識しなくても、ポリフェノールは十分に摂取しています。ポリフェノールのことなど考えずに、適量の赤ワインやコーヒーやチョコレートの味や香りを楽しむ方が健康的だと思います。

太古から人類は様々な動植物を試行錯誤しながら食べてきました。膨大な試行錯誤の中から、安全な食材とそうではない食材を経験的に学んできました。試行錯誤の過程で、寄生虫、毒草、毒キノコ、毒フグなどで大勢の人が健康を害したり、命を落としたことでしょう。

マスコミが垂れ流す怪しげな食品情報に惑わされることなく、我々の五感を研ぎ澄まし、そこそこのおいしさでのリーズナブルな価格の食品を楽しめば良いのではないかと思います。

次回文章は、12月8日(水)になぜ人と違うことしなけばいけないか、などのリーダーシップについての文章を公開します。

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