近江商人の理念(646)


1、租業を守り続けたものは、ほとんどいない

 

 

「」は、小倉栄一郎著の「近江商人の理念」からの引用です。ある近江商人の勉強会に出席した時に、この本をもらって以来、この本は、わたしの愛読書となっている。そしてわたしの生き方のモデルとなっている。

 

本来近江商人の本質は、小売業でなかった、近江に本店を置いて、全国を商圏として商いをした商人を意味する。昔も彼らは、情報によって生きてきた人々であった。情報によって生きる仕事をする人とは、現代で、どのような仕事を意味するのであろうか?

 

「出身地近隣で営業するものはなく、とおく近隣へ旅して他国で商売した。諸国物産廻し商法が近江商人の原点であった。」これは、情報を力とする生き方をする人であった。彼らは、小売業でない。

 

この諸国物産廻しこそが近江商人の原点であった。この諸国廻しは、現代の商社であるし、それを今の形にしていくのが、わたし達の仕事なのである。

 

もうひとつ近江商人の家訓の中で最もわたしが着目するのは、近江商人で租業を守り続けたものは、ほとんどいないという事実である。この言葉も、多分小売業からは生まれてこなかっただろう。

 

租業をまもる仕事をするだけの人では、社会の変化を利用することも、先見力も育たないからである。豊富な情報と相互の信頼の重要さに生きる人が、繁栄していくのである。

近江商人は、石田梅岩の主張するような、長寿と始末と倹約の3徳を大切にしていくのである。

 

新入社員が入社してくる今の桜の咲くころ、その日は新入社員にとって、転職できる能力やスキルをその日から高めていく日でもある。そして、一代限りでは成功では及ばないことを知るのが近江商人である。

 

繁栄は、個人の努力だけではどうしようもないことを悟って、成功は、個人の努力を超えていることを知ることから生まれる。そのためには、世間に陰徳を及ぼしていかねばならないのである、陰徳には陽報が報い、人知れず実行していけば、大きな力に守られることを信じる人である。

 

 

2、わずかに30年なり

 

 

近江商人は、昔からの店は番頭に任せて、主人は新事業を興して新産業を育てた人である。昔からの店は時代が移れば、衰退していくかもしれないが、新産業によって近江商人の生命は新会社につながる。生命は新会社につながることは、現代に生きる人は、どうしたらの自分の生命を、誰かにどのようにして継承していくかである。

 

近江商人は、本来小売業ではないから彼らは、昔から情報によって生きてきた人達である。それは、現在に投資などの未来の新産業を興して新産業を育てるようにとと私たちに教えてくれているのである。この過去の家訓を現代の経営に活かす人が、生命を未来につなげる人である

 

もうひとつの言葉は、このわずかに30と言う時間についての考え方が、人に安心をあたえてくれるのである。自分の努力は、無限に続くものではないのである。

 

「ご先祖様の手代、貧も富もわが一心にあり。悪心起こらば、家を保つこと能はず、家をわが子に譲るまでは、わずかに30年なり、その間は謹んで奉公の身と思ふべし」

わが一心からすべてが生まれるのであるから、しばらくは勤勉に仕事をするのである。

 

 

3、近江商人の生命を未来につなげる

 

 

 

「近江商人で祖業を守り続けた者はほとんどいない。昔からの店は、時代が移れば衰退していくかもしれが、近江商人の生命は、新会社につながる。」

近江商人の生命を未来につなげるような仕事をするのが、今に生きるわたし達の仕事である。

 

ご先祖様の手代

 

「貧も富も、我が一心にあり、悪心起こらば家を保つこと能はず、」

貧困に生きるも繁栄に生きるも、すべてその人の心にある。次の世代に引き渡すための仕事をしなければ、命は、絶えてしまう。未来への橋をつなぐためには、唱名を唱えて先祖を敬う。

 

そして私たちにとっても仕事の期間は、わずか30であると考えることである。いつまでも仕事は続くものでない自覚があるからこそ、プロフェッショナルとして今働くのである。

 

何も永遠に続くものはない。人との出会いも一期一会であると考えて、いつでも、この何事もわずかに30年の言葉を思い出すようにしていく。なぜなら、わたしたちは、限りある時間を与えられているにすぎないからである。

 

以上の近江商人の理念は、働く期間は無限ではないという意味、陰徳を施して貢献する行為、そして、情報力で生きるとはどのように生きるのか、これらを今の時代に当てはめて生きよ、という教えである。小売業で生きること、や自力や他力のあれかこれかではない。

 

貧も富も、我が一心にあり、悪心起こらばでは、外部にその原因を求めない生活をすることになる。

 

 

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