師としての坂井三郎、2( 666)



(2) 苦難の中で磨かれ、安逸の中では堕落

「人と言うものは、苦難の中で磨かれるが、安逸の中では堕落する。人間の心を円で示すなら、
縦割りにした半分は悪心であり、残りの半分は善心であると説く人がある。その通りであるだろう。

真剣勝負で一回負けたなら、この世の終わりで次はない。ならば真剣勝負の究極は、最低引き分けで
留めることであり、常に勝てないまでも次の勝負に参加する権利を掴むことで
絶対に生き残って、次の勝利の権利を握る、この一念である。」

戦後の日本の経済成長は、人間は苦難の中では磨かれるが、安逸の中では創られるものでないこと
を忘れ去っての経済成長であった、と坂井三郎さんは語っている。そして彼は、加えて、人間の心
には善心と悪心が住んでいるとも言う。

彼は、戦闘機の左右の見張り能力を極限まで高めてこの戦争を生き残ったリアリズムの人で、
理系的な人間である。同時に戦後民主主義に組する人間でもない。そして、日本軍隊の組織
の幹部に、例えば山本五十六などの軍隊組織の幹部に批判的な人間であって、戦後は組織に所属
しなかった人である

経営や投資に生きる人も、引き分けをよしとする意味は、生き残ることの大切さであり、
それによって次の勝負の権利をえることである。リアリズムと勝負の世界では、この絶対に生き
残って、人は自分でしかなしえない貢献をするためのである。

(3) 助けられた人への恩は忘れない
 
「人間、助けられたことと侮辱され、いじめられたこと。この2つは、人生において男として絶対に
忘れてはならない。これがわたしの処世訓であり、信念である。」

困難に陥った時に、人はある人から助けられた体験と豹変する人間とに出会うである。
しかし、2種類の人間が社会にいることを、人は日常生活ではめったに目撃しない。
父が亡くなりその葬儀の時に来た人達の表情を忘れることはない。

助けられた人への恩は忘れないし、豹変した人間も決して忘れないのである。この2種類の人間
がいることは、わたしの信念ともなっていった。幸福学、白熱教室のロバートビスワス、ディーナー
博士が言うように、数人の支える数人の友人の幸福へのよき影響は、ネットの友達などとは次元が
異なり、大きな影響を与えていく。

助けられた人は、絶対に忘れない。助けられた人は、その後に人を助けるようになっていくし、
友人は数でないのである。

(4) 最短距離で、一刻も早く平常心に戻る
 
「どんなピンチ、パニックに遭遇しても、最短時間に平常心に戻るだけの心の準備も積んでいなけ
ればならない。だから最短距離で、一刻も早く平常心に戻りうるか、と言う稽古を、私なんかも、
毎日毎日、繰り返していた。」

最短距離で、一刻も早く平常心に戻りうる準備を毎日していく。なにがあっても、どんなピンチ、
パニックに遭遇してもこの準備を繰り返して準備していくのである。

(5) 私自身でしかない
 
「その私を支えていたものは何か、と言うとね、つまるところ、私自身でしかない。もちろん、
母の力、妻の力、戦友の力、その他もろもろの配慮と恩恵を受けて今日あるのだと言うことを
忘却しているわけではありませんよ。しかしそれにもかかわらず私を支えているものは激しい
母の血を体内に宿した私自身でしかない。苦しいことも、ガタルカナルからラバウルへの、
死とすれすれの飛行と比べれば大したことはありませんからね。」

つまるところ私自身でしかない、たとえ恩を受けた人達に感謝したとしても、この心意気を持って
いる限り、それは全てを自分で引き受けると言う姿勢を前提に、様々な人の恩恵を受けていること
を話して、意味がでてくるのである。

それは海外に一人で留学することと同じで、または大病のような困難に陥るときに、一人でして
私自身でしかすることができない時に、何をするかと、外国人の友人を持つことが視野を広げてく
れるのである。

(6) 犬猫にでもできる

「働くんだ。しかし待てよ。おれがおれの食うためにのみ働くんなら、犬猫にでもできる。そうだ
、一人でも多くのもののために働く。そうすればおれは必ず生きられる。」

おれがおれの食うためにのみ働くのなら、犬猫にでもできる、という言葉を繰り返して、わたしも
仕事をしてきた。40代から50代のある年齢の時までに、自分が食うための仕事を卒業して多く
のもののために働いたなら、必ず永遠の生命の中に生きられようにするのである。

(7)たゆまざる執念を、ですね。もう第2の天性になるくらい
 
「何であれ、大切なものは、命懸けでなければ手にし得ないと言うことです。そのためには努力も
し研究もしなければなりませんが、それが人間を向上させる。
たゆまざる執念を、ですね。
それがもう第2の天性になるくらいでなければ駄目で、毎日毎日,休んでいる時でも潜在意識の中
に、自分でたてた目標、もしくは目標でなければ夢でもいいし、理想でもいいですが、それがぴし
っと根ずよく残っていなければならない。」

命がけで第二の天性を作るのである。その時天職のような仕事をするときに、初めて自分の第二の
天性を作ることができるようになる。

(8)自分は何のために生きているのか
 
朝日新聞の出口調査によると、今回の都知事選挙での20代の投票先トップは舛添氏の36%だった
ものの、田母神氏は、それに迫る24%を得て2位だった。時代は変わり、これが最も新しい変化
の兆候である。私もこの新しい若者の変化に、今回の選挙で最も注目している。
「」は、百田尚樹著の「永遠の0が語りかけるもの」からの引用

「ネットの世界ではもう大新聞は全く信用されていない。太平洋戦争は日本の侵略戦争だったと
いう大新聞の論調はいまだに替わりませんが、ネット世代が大人になったら、ジャーナリストも
ずいぶん変わると思います。

自分の人生は自分一人のものではない。僕も含めて、自分は何のために生きているのかと言うことを現代人はあまり考えない。
ところが60年前の日本人は、無意識のうちにそれを考えていました。

優れた小説はノンフィクションを超えられると思います。事実の中には不純物が混じっていて、
そのために往々にして全体像が見えにくくなることがある。小説家はそういう不純物を取り除いて、
100%結晶化します。」
 (6)犬猫でもできるで述べたように、自分は何のために生きているのかと言うことを現代人はあまり
考える機会が少ないが、無意識で考えているのである。坂井三郎さんの何のために生きるかは、
「永遠のゼロ」の本や映画にとつながっていく。それは、戦後70年が経過して20代に引き継がれて
いくものとして、それが今回の東京都知事選挙で見えてきたのである。

Leave a Reply